こんにちは、みやまです。
先日よりX(旧Twitter)にて子育てケアマネの拡充について、燃えているような記事を目にします。
ケアマネジャーって何?
そもそもケアマネジャーとは、介護保険のサービスを調整する(ケアをマネジメントする)専門職で、資格の名前です。
ケアマネジャーの試験を受けるには、介護業界での実務経験が何年・何日以上という条件やその他の資格を持っているなどの条件があり、その上で試験に合格、その後も研修を重ねなければならないというハードな資格です。(と思っています。)
介護保険のサービスを使うには
申請して認定を受ける
介護保険のサービスを利用する場合には、市町村に介護保険の認定申請をします。
申請をすると、市からの調査員が本人の生活の状況を直接確認しに訪問します。加えて、市から主治医の医師に書類が送付され、主治医から見て本人の身体状況がどうかという情報が市へ共有されます。
調査員の調書と、主治医の意見書、この2つの書類から、本人が生活していくためにはどれくらいのお手伝いが必要なのかが判定されます。(介護保険認定審査会)
判定結果は、そもそも手伝いを必要としない「自立」あるいは、少し支援すれば自分での生活も送ることができる「要支援1、2」、日常的に人の手が必要な「要介護1~5」の8段階あります。
認定結果と限度額
認定結果が下りると、ひと月当たり、どれくらいのサービスが保険利用できるのか(上限単位数)が分かります。要支援1の人は、ひと月5,032単位という単位数分だけ、保険でサービスを使うことができます。要介護の人はもっと多い単位数を使うことができます。
サービスの単位数はそれぞれあらかじめ決まっています。
例えば、ひと月200単位くらいの多点杖と、置き型の手すり400単位/月、週に1回のデイサービス2000単位/月を利用したとすると、合計で2,600単位/月になります。認定結果の上限を超えない範囲は保険で利用できるので、要支援1の人でもこれらは全て保険を利用することができます。
では限度額いっぱいまで使った方がいいのか?というと、そうでもありません。
サービスを使うにはケアプランが必要
介護保険のサービスを利用するには「ケアプラン」と呼ばれる計画書が必要です。
ケアプランには、なぜこの人に、このサービスが必要なのか、サービスを使ってどのような生活を目指すのか、を記載する必要があります。本人の身体状況、生活環境を踏まえ、本人の生活にあったサービスを使うということを書類に書き起こさないと利用できないのです。
ケアプランはいつでも見直しと修正が可能ではありますが、ケアプランに記載されていないサービス(必要と判断されていないサービス)は利用することができません。
サービスを使うと自己負担も発生する
また、介護保険のサービスは医療保険と同じように、サービスを使う時に1割~3割まで、自己負担が発生します。何割負担で利用できるかは個人の所得によって変わります。毎年の所得で計算され、介護保険の認定を持っていれば毎年市役所から書類が送付されます。
介護保険の1単位の金額は、住んでいる市町村によって異なります。その市町村に介護保険のサービス事業所が多ければ多いほど高くなります。福祉用具は共通で1単位10円です。
介護保険関連の手続き代行者がケアマネジャー
介護保険のサービスを使うのに、申請をして、認定を受けて、サービスを選んで、ケアプランを書いて、単位数の計算をして…めちゃめちゃ大変じゃないか!と思いますよね。
そこで登場するのがケアマネジャーです。
ケアマネジャーは基本的に要介護認定の方についてのケアプラン作成やサービス調整、市役所等への代行可能な手続きを行ってくれます。(要支援の方の場合は、担当の地域包括支援センターの職員が行うことがあります。)
ケアマネジャーは介護保険のサービスの種類や単位数について詳しく知っているプロなので、本人(とその家族)の悩みを聞き、必要なサービスを提案し、調整し、ケアプランを作成します。サービスの利用が始まった後も、本人(と家族)、サービス事業所などの関係者と密にやり取りし、生活や健康面での課題がないか、モニタリングしてくれます。
ちなみにケアマネジャーを変更したい場合には、地域包括支援センターに問い合わせると他のケアマネジャーを紹介してくれます。
(昨今、支援者がかなり少ないのでケアマネジャーも介護サービス事業者も受け入れてくれるところがなかなか見つからないと聞きます…)
高齢者についての最初の相談は「包括」へ
介護保険サービスは一度経験すれば何となく手続きが分かるのですが、初めてだと戸惑うことも多いですよね。
最初の問い合わせに悩んだら、本人の住民票の住所地を管轄する「地域包括支援センター」に問い合わせるとよいと思います。
介護保険を初めて申請するときの市役所等への代行申請や、認定結果が出た後のケアマネジャーの紹介、また地域で行っている健康や介護予防についての情報など提供してくれます。また、市町村で行っている「総合事業」のサービスを利用する場合などについても地域包括支援センターへの問い合わせが必要です。
住民票の住所によって担当の地域包括支援センターが決まっていますので、分からなければ市役所の高齢者担当課に問い合わせましょう。
子育てケアマネって何だろう
冒頭の話題に戻りますが、子育ての場合はどうなるのでしょう?
母子保健分野に携わった経験がないので感想と思って読んでいただけたらと思うのですが、そもそも母子保健のサービスは全員が利用できる公的なものってありませんよね…?
故に、ケアプランや単位数の計算も必要ないのではないかと思います。(相談支援員や障害支援分野はまた別と思ってください。)
健常児の場合、現在はサービスを必要としている人が、直接市町村やサービス提供者に問い合わせて利用していると思うのですが…
ケアマネはどこになぜ必要だと言われているのでしょうか。母子保健サービスも公的保険として整えるということなのでしょうか。(であればそのように広報した方がいいのではないでしょうか。)
おそらく母子保健の分野でも、現在の課題として上がっているのはサービスの種類や量が不足していることですよね。
あるいはサービスの情報を知ることができる機会が少ないとか…
正直な感想としては、ケアマネジメントを行う職を増やしたところで、調整するサービスがなければ意味がないような気がしています。
各家庭に専門の相談員を結びつけるという意味では、各市町村の役所には母子保健担当課があり、保健師が配置されていると思いますので、保健師の業務内容を改めて検討する方が現実的な気がするのですが、どうなのでしょう。
保健師に相談しても解決しないことが多いとも聞きますが、正直それも、解決できるような多様なサービスがないことが根本的な理由な気がしています。
特に結論は無いのですが、介護保険のケアマネジャーと母子保健の「子育てケアマネ」が同じ役割のことを指しているのであれば、不要なのではないか…と思った次第でした。
制度づくりは難しいですよね。みんながみんな、良い風に幸せになれる世の中になればいいのにと思います。(投げやり)